突然に逝ってしまった、ということもあるのだろうけれど、
その理由がわからないことが、
未だに気持ちが落ち着かない大元なのかな、とも思う。
何のせいだったのか。
本当に先天性の疾患だったのか?
ほじくりかえしても生産的ではないんだけれど、
納得がいっていないから、未だに燻ってる。
忘れっぽいぼんやりな私でも、
録画フィルムかというくらい、
元旦の夜から、2日の朝までの記憶は、鮮明で克明。
夜にトノがアニモンダ(前にキャットショーで買った)の
パウチをぺろっと平らげた後、
私もお風呂に入って、もう早々に寝よう、と準備をしていた22時半頃、
ペットヒーターの上で香箱を組むトノの呼吸が、
なんだか速くないか?と気になった。
そのうちいつもの香箱を組む姿勢じゃなくて、
前足を伏せ、みたいにヒーターにつけてた。
でも、スミはお構いなしで自分の場所で寝てた。
もし、トノに異常があるなら、何よりスミが気付いてくれるはず。
スミが普通なら、異常ではないんじゃないか、と思いなおす。
でも、スミのお腹の動きと見比べると、倍くらいのペース。
おかしい。でも、普通のことかもしれない。
考えつつ、観察しつつ、
トノを抱っこして、ベッドの上にあげて、
私の上にのせてみた。
トノはしばらくしてすぐにペットヒーターの上に戻る。
呼吸が速いこと以外、いつも通りに見える。
でも、猫はよほど痛い、苦しくないと、我慢強くて表に出さないと聞く。
そのうち、呼吸の速いトノの鼻から、ぽた、ぽた、と水そのものみたいな
鼻水が床に落ちてきた。
へん。
そのうち、スミがトノの顔を舐めだした。
でも、これもいつものこと。
触れると、なんだかいつもより体温が低い気がする。
でも、気のせいかも。
やがて、トノが廊下へ移動しようとして、
何故か引き戸の前で声を上げた。
トノが夜、廊下へ行って鳴くことは何度もあるけれど、
引き戸はいつも自分で開ける。
あわてて追いかけていったら、スミも追いかけてきた。
引き戸をあけたら、トノは廊下でバタンと横になった。
もう、絶対ヘンだ。
杞憂かもしれないけれど、後悔するよりはましだと、
深夜なのに動物病院に電話する。
さすがに元旦夜なのでかかりつけはつかまらず、
時間外診察もしている前の掛かりつけに。
ちょうど0:00.
キャリーバックにトノを入れるときも、
足をなげだしたまま。
何度も病院へ連れていったけど、こんなことは初めて。
タクシーの中でも、
普段は大人しいのに、苦しげな声をあげる。
苦しいときに、キャリーバックだ、タクシーだ、と
さらにストレスを与えてしまっていることに余計に焦る。
そんなときに限って赤信号ばかりにつかまる。
焦って焦って、おつりはいりません、とタクシーを飛び出して、
病院へ。
・・・猫は、病院では、元気なそぶりを見せようとする
生き物なんだと思う。
死の前に身を隠すなんて言い伝えがあるけれど、
それは野生の本能的で、
身を守るためにひと前で弱みを見せない生き物なんじゃないかと。
知り合いのチンチラの子が、TVコードが巻きついて死に掛けたとき、
死にかけているのに必死でTVの裏に行こうとした、といっていたけれど、
診察台の上みたいに逃げも隠れもできない場所では、
強がっちゃうんじゃないだろうか?
同時期に体調を崩したらしい有名猫さんたちのBlogでも、
「病院では一旦元気になる」
と何回か書かれていた。猫は見栄っ張り、とも。
あのときのトノの状態もきっとそうだったんじゃないだろうか。
トノは、エコーもレントゲンも血液検査も異常なしだった。
今日はウンチをしてなくて・・・と言ってるそばから、
獣医さんの目の前で立派なウンチをした。
オシッコも問題ない。
唯一、体温が37.7℃。平熱より1℃くらい低い。
手で感じた「いつもよりちょっと低い気がする」は間違ってなかった。
診察では、単に呼吸が速いだけ。
鼻づまりなんじゃないか、と鼻薬を点鼻されたりもした。
酸素吸入もしたけれど、様子がかわらなかったから、
「心臓じゃない」(酸素吸入で落ち着いたら、心臓疾患だといわれた)
とも云われた。
でも、トノは口をあけて呼吸をしだした。
呼吸も速いまま。
獣医さんは注射が苦手なのか、
トノの腕に針を刺すのを何度も失敗した。
(前にここで血液検査したときは、すんなり採血できてたのに)
でも、トノはあまり嫌がらなかった。
強がる余裕がなかったのかもしれない。
お腹を触ると痛がる様子があるから、と抗生剤を注射された。
その瞬間、その狭い診察室で3匹入院していた猫の1匹が、
突然鋭い声を上げた。
まるで、しちゃいけない!と云われているみたいで、
私はここで獣医さんを止めるべきなのか!?と焦った。
あれは本当になんだったんだろう。警告だったんだろうか?
原因がわからず、膵炎かもしれない、といわれた。
猫の膵炎は本当にわかりにくくて、
点滴で様子を見て、ようやくわかるものらしい。
膵炎を検査できる検査機関も最近できた、といっていた。
昔は、死後解剖してから膵炎だった、とわかったそうだ。
原因がわからず、苦しそうなままのため、
様子を見て、引き続き検査をするため入院へ。
酸素室にもなる、ステンレスのBOXみたいな部屋。
その中にトノを私の手で抱っこしていれて、
点滴をつけられた。
ますます、トノは苦しそうになった。
ちっとも楽そうにならない。
隠れられる場所だから、それまで気丈に強がっていたのが、
気が抜けたのかもしれない。
一旦入院となって、とりあえずは安心なはずなのに、
想像もしなかった光景に、泣けてきた。
何でこんなことになったんだろう。
獣医さんの点滴の準備ができるまで、
黙って泣きながらトノを顔をひたすら撫でてたら、
トノが、邪魔そうに前足で私の手を払った。
それくらい、苦しかったんだろう。
今思うと、それが、意識のある、
トノが私だとわかっていたときに会った最後の時間だ。
前金を支払い、
同意書にサインをした。
入院中のいかなる治療にも文句を言わない、という内容。
深夜、大通りまで歩いて、セブンイレブンでお金を下ろす。
空のキャリーバックで、家に帰る。
スミは当然、トノを探す。
ごめんね、トノは病院なんだよ、と謝る。
携帯を充電しながら、
すぐに気付けるようにマナーモードじゃなくバイブも音も鳴るように
設定。
数時間後、早朝に、獣医さんから電話がある。
4時ごろは大分落ち着いていたのだが、
容態はもっと悪くなっている。
今日またいくつか検査をするから、終わった午後ぐらいに来れるか、という内容。
電話を切った後、ぐらぐらと不安になり、
午後に病院へ行った際、今のかかりつけに転院させるべきかと、
今のかかりつけの電話番号を準備する。
診察券も準備。
アニコムの保険証も。
が、30分もしないうちに、また電話。
容態が急変。
もがくような苦しい様子で、
チアノーゼを起こし、肉球が真っ黒になっている、という。
来れますか、と云われた。
行かないわけがない。
でも、まだ連れて帰れる気だった。
キャリーバックを持って出た。
今度もタクシーのおつりをけっこうですと言い捨てて、病院へ。
入院したのは1階の診察室なのに、
案内されたのは昨夜診察された2階。
何故だろうと思いつつ、駆け上がった階段の先にいたのは、
心電図と呼吸器につながれ、
心臓マッサージを受けているトノ。
目は開いていたけれど、意識はたぶん、もうなかった。
どんどん、薬を入れられてた。
肺に水が溜まっている、と吸引されてた。
体温が下がっていて、
湯たんぽで体の両側を暖めてもらっていた。
いつもピンクの肉球がしろっぽくなってる。
先まではこれが真っ黒になっていたんだといわれる。
心臓マッサージの手を何度か止めて、
獣医さんがエコーでトノの心臓を見ていた。
手が止まるたびに心拍数が落ちる。
弱いけれど、なんとか、自力でまた心臓が動いている状態。
「薬を投与しているけれど、病気が薬に勝っちゃっているみたいだ」
と。
エコーで、心臓にちょっと肥大が見られるかもしれない、というような
ことを云われた。
夜エコーでみたときは異常無しだったのに?
トノが暴れたからよく見れなかった、と云われたけれど、
トノは全然大人しかった。
確かに嫌がって動いたりしたけれど、あれで暴れたことになるんなら、
普通に暴れる猫さんなんて全然検査できないと思う。
猫は散歩をしないから、先天性の疾患があっても気付きにくい。
年齢的にも先天性の心臓疾患だろう。
心臓疾患があった場合は治らない。
血栓が出来たら、それが太い血管に詰まってしまったら死んでしまう。
取り除くことはできない。
血栓を作らせないように薬を与え続けていくしかないのだ、と説明された。
本当にトノがそうだったのかどうか、
未だに信じられない。
酸素吸引でも改善しなかったから「心臓じゃない」とはじめ言われたのに。
それとも、酸素吸引ではもう手遅れなほどひどい状態だったのか?
本当は、何で死んじゃったんだろう、トノ。
数時間前まで、普通の夜だったのに。
ひとりになる時間は、何度も何度も同じことを思い出す。
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